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【SOCCER NOTE】小倉隆史 独占インタビュー



──と、いいますと?
小倉:「フォワードはエゴイストであるべきだ」とも言われますけど、僕は「オレが、オレが」というよりも、チーム全体を考えてプレーするところがありました。もともと周りを生かすことを考えるタイプだったうえに、監督目線が加わったというか。そういう部分がちょっと先行し過ぎてしまったかな、という気がしますね。

──ストライカーとしての血が濃い一方で、小倉さんはチーム全体をコーディネイトできるプレーヤーでした。
小倉:そういうことを意識する環境だったのかもしれません。中学時代は顧問の先生がラグビー出身だったので、ミーティングは僕が中心になっていました。それにしても、ベンゲル監督には衝撃を受けました。最初は怒られましたから。
 どうして怒られたのかは、自分でも分かっていました。当時の僕はオランダ1部のクラブから誘われたのに、日本へ戻ってきた。ところが、なかなか試合に使ってもらえない。やる気を失っていました。でも、ベンゲル監督は期待をしてくれたと思うんです。ある日、監督室に呼ばれて……。

──そこで、何があったのですか?
小倉:「オグラ、サッカーを教えてほしいのか」って聞くんです。いきなり予想外のことを言われたので、ちょっとだけ間を置いてから「ええっ、はいっ」と答えると、ベンゲル監督は「そうか」と答えました。それで、一拍置いたあとに、強い口調で言われたんです。「練習を100パーセントやらない選手に、何でオレが教えなきゃならないんだ。100パーセントでやれ! そうしたら、オレが教えてやる」と。
 ドキっ、としました。でも、僕の気持ちを見抜いていたんでしょう。そういうところも衝撃でした。

──さすがベンゲル監督、というエピソードですね。
小倉:この話には続きがあって。「オレの練習を100パーセントでやったらうまくなるぞ」と、ベンゲル監督は言ったんです。ベンゲル監督との出会いは、僕のなかで本当に大きい。
 たくさんの監督のもとでプレーをして、それぞれに学ぶところ、感じるところはありました。でも、ベンゲル監督こそが、僕のなかでは最高の監督です。あらゆる意味で「なるほど」と思わされたし、とにもかくにも試合が楽しくて。心地好い流れに乗っているような感じで、本当にサッカーが楽しかった。
ベンゲル監督のもとでプレーした選手は、監督というものにすごく興味を持つんじゃないかな。自分が監督をやるとなったときにも、参考にする部分はある。もちろん、まったく同じようにはしませんが。
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