【1998年ワールドカップに出場したストライカー】城彰二インタビュー
日本サッカーが歴史の扉を開く瞬間には、いつも彼がいた。
28年ぶりの出場を決めたアトランタ五輪。
史上初めての出場となったフランス・ワールドカップ。
日本人初のリーガ・エスパニョーラ移籍。
輝かしい実績を残してきた現役時代に別れを告げたのは、いまから6年前になる。
31歳でスパイクを脱いだのは少しばかり早いが、進むべき道が見えていたからこその決断だった。
日本サッカーが世界と肩を並べるために、いま、自分ができることは──サッカーへの揺るぎない思いは、現役を退いてもなお膨らむばかりである。
個は伸びているが組織の成熟は……
──まずは日本代表の現状認識からお聞かせいただけますか。
「個の能力は間違いなく高まっています。ヨーロッパでプレーする選手──いわゆる海外組が増えているし、彼らは個性豊かです。ただ、日本代表のチーム力が上がっているかというと、僕はちょっと疑問を感じているんですね」
──と、いいますと?
「海外組が多いことで、試合に向けた準備期間が短くなってしまう。10月のフランス戦、ブラジル戦のように、ヨーロッパで試合をすれば海外組は移動のロスが少なくてすむ。けれど、日本国内のテストマッチでは直前の合流になることが多い。チームとして十分な練習量が確保できないですよね。「個」はレベルアップしているけれど、一つひとつの「個」をまとめる連携の向上に時間が割けないんですよ」
──城さんのご指摘は、成績を見れば明らかですね。まとまった準備期間があれば結果はついてきますが、単発の試合ではなかなかコンビネーションが発揮されていません。
「自分のレベルが上がれば、「オレがやらなきゃいけない」と思うのが選手心理です。それはもう、当然の責任感です。けれど、「オレが」という気持ちが強過ぎると、個と個がぶつかり合ってうまくいかない。日本国内のテストマッチだとスケジュールが慌ただしいので、時差などの影響も拭えない。様々な原因が複合的に絡み合って、チーム力を向上しきれていないと思うんです」
──まずは日本代表の現状認識からお聞かせいただけますか。
「個の能力は間違いなく高まっています。ヨーロッパでプレーする選手──いわゆる海外組が増えているし、彼らは個性豊かです。ただ、日本代表のチーム力が上がっているかというと、僕はちょっと疑問を感じているんですね」
──と、いいますと?
「海外組が多いことで、試合に向けた準備期間が短くなってしまう。10月のフランス戦、ブラジル戦のように、ヨーロッパで試合をすれば海外組は移動のロスが少なくてすむ。けれど、日本国内のテストマッチでは直前の合流になることが多い。チームとして十分な練習量が確保できないですよね。「個」はレベルアップしているけれど、一つひとつの「個」をまとめる連携の向上に時間が割けないんですよ」
──城さんのご指摘は、成績を見れば明らかですね。まとまった準備期間があれば結果はついてきますが、単発の試合ではなかなかコンビネーションが発揮されていません。
「自分のレベルが上がれば、「オレがやらなきゃいけない」と思うのが選手心理です。それはもう、当然の責任感です。けれど、「オレが」という気持ちが強過ぎると、個と個がぶつかり合ってうまくいかない。日本国内のテストマッチだとスケジュールが慌ただしいので、時差などの影響も拭えない。様々な原因が複合的に絡み合って、チーム力を向上しきれていないと思うんです」
──個と組織は切り離せませんからね。
「個人の力を伸ばしていくのはいいけれど、『個』だけでは世界に叶わない。じゃあ、どうするのかと言ったら、日本は組織力でしょう。その部分をどれだけ詰めていけるかを考えると、現状は厳しい。チーム強化の狭間にきていると僕は思います」
──それでも、アジアの国が相手なら、何とか……。
「何とか、個の能力で押さえつけられますが、アジアを飛び出した瞬間からギャップが生まれていく。それはもう、僕自身も経験してきたことです」
──香川真司も本田圭佑も、素晴らしい選手であることは間違いない。でも、彼らはメッシやクリスティアーノ・ロナウドのレベルではありません。いまは、まだ。
「世界のトップクラスかといったら、いまはまだ、そうじゃないですよね。そういうことを踏まえても、個があっての組織じゃなく、しっかりした組織のなかで個を生かすのが日本の方向性でしょう。ヨーロッパのトップクラスの国々を見ても、個が勝手にやっている国ってないんですね。それぞれの国ごとに、基本ベースはしっかりある。そのなかでどうやって自分を生かすかというプラスアルファを、個々の選手が考えている。組織力の成熟は欠かせませんよ」
──そのためには、絶対的な練習量の確保が求められますが……。
「そこが一番難しいところで……。日本は島国なので、ヨーロッパの国々のようにすぐに集まれない。Jリーグは3月開幕ですが、ヨーロッパは7、8月開幕なので、スケジュールもズレている。だから、海外組と国内組でコンディションのバラつきが目立つ。最近はとくにそうです。様々な意味で、代表選手に負担がかかっている気がします」
──タフな環境を乗り越える強さを持て、と言われる時代もありました。ですが、根本的な環境整備を、忘れてはいけませんね。
「そこをどう考えるのか。たとえば、日本とヨーロッパでシーズン開幕の時期がズレていることも、そろそろ結論を出す時期なのかな、と。チームの力を考えれば、僕が出場した98年のフランス・ワールドカップ当時より数段伸びています。でも、世界のトップレベルもまた伸びている。その差が縮まったかといったら、残念ながらまだ開きがある。代表チームを強化する土台を、ここでもう一度しっかり築くべきだと思います」
「個人の力を伸ばしていくのはいいけれど、『個』だけでは世界に叶わない。じゃあ、どうするのかと言ったら、日本は組織力でしょう。その部分をどれだけ詰めていけるかを考えると、現状は厳しい。チーム強化の狭間にきていると僕は思います」
──それでも、アジアの国が相手なら、何とか……。
「何とか、個の能力で押さえつけられますが、アジアを飛び出した瞬間からギャップが生まれていく。それはもう、僕自身も経験してきたことです」
──香川真司も本田圭佑も、素晴らしい選手であることは間違いない。でも、彼らはメッシやクリスティアーノ・ロナウドのレベルではありません。いまは、まだ。
「世界のトップクラスかといったら、いまはまだ、そうじゃないですよね。そういうことを踏まえても、個があっての組織じゃなく、しっかりした組織のなかで個を生かすのが日本の方向性でしょう。ヨーロッパのトップクラスの国々を見ても、個が勝手にやっている国ってないんですね。それぞれの国ごとに、基本ベースはしっかりある。そのなかでどうやって自分を生かすかというプラスアルファを、個々の選手が考えている。組織力の成熟は欠かせませんよ」
──そのためには、絶対的な練習量の確保が求められますが……。
「そこが一番難しいところで……。日本は島国なので、ヨーロッパの国々のようにすぐに集まれない。Jリーグは3月開幕ですが、ヨーロッパは7、8月開幕なので、スケジュールもズレている。だから、海外組と国内組でコンディションのバラつきが目立つ。最近はとくにそうです。様々な意味で、代表選手に負担がかかっている気がします」
──タフな環境を乗り越える強さを持て、と言われる時代もありました。ですが、根本的な環境整備を、忘れてはいけませんね。
「そこをどう考えるのか。たとえば、日本とヨーロッパでシーズン開幕の時期がズレていることも、そろそろ結論を出す時期なのかな、と。チームの力を考えれば、僕が出場した98年のフランス・ワールドカップ当時より数段伸びています。でも、世界のトップレベルもまた伸びている。その差が縮まったかといったら、残念ながらまだ開きがある。代表チームを強化する土台を、ここでもう一度しっかり築くべきだと思います」