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【プロフェッショナルとして活躍したアスリートのセカンドキャリア】平瀬智行インタビュー!

文/戸塚 啓

プロフェッショナルとして活躍したアスリートのセカンドキャリアは、我々が考える以上にシビアである。慣れ親しんだ競技に引退後も関わっていける者は、どんなスポーツでも少数派に属する。
プロリーグができて20年目となったサッカーも、現役を退いたあとの選択肢はまだまだ多くない。華やかなステージのすぐそばには、厳しい現実が横たわっている。
Jリーガーのセカンドキャリアに、新たな可能性を切り開こうとする男がいる。かつて日本代表でも活躍した平瀬智行さんだ。現在はJリーグ・ベガルタ仙台のアンバサダーとして、多忙な日々を過ごしている。
生き生きとした表情から発せられる言葉は、どれも瑞々しい情熱に溢れている。夢を抱き、目標へ突き進む。理想を掲げ、チャレンジ精神を忘れない。平瀬さんのセカンドキャリアには、人生を生き抜くモチベーションが詰まっている。

サッカー界へ呼び戻してくれたベガルタのために

──現役引退とともにベガルタ仙台のアンバサダーに就任したわけですが、そもそも引退後のプランはどのようなものだったのでしょう? 指導者を目ざす元選手は少なくありませんが。

「指導者には興味がなかったんです。指導者ライセンスも受講していません。引退したら1年ぐらいのんびり過ごすのもいいかなあ、そのあとはメディアで仕事ができたらいいなあ、なんて思っていました。ただ、ベガルタ仙台に、仙台という街に、何か恩返しがしたいなと思っていたのは確かです」

──在籍年数で言えば、プロデビューを飾った鹿島アントラーズが一番長い。それなのに、仙台への思いがそこまで強い理由は?

「仙台には08年からお世話になりましたが、実は07年限りで引退しようと思っていたんです。股関節のケガに悩まされていたので。でも、誠さん(手倉森誠監督)と丹治さん(丹治祥庸強化部長)が、ケガが完治するか分からない状況で誘ってくれた。ベガルタは、僕をサッカー界へ呼び戻してくれたチームなんです。アンバサダーに推してくれたのも、誠さんであり丹治さんだったので、お二人のためにも精いっぱいこの仕事をして、会社側からも『アイツに任せて良かった』と思ってもらえる働きをしたいと、と思いました。仙台という街も好きですし。ホントに住みやすいんですよ」



【プロフェッショナルとして活躍したアスリートのセカンドキャリア】平瀬智行インタビュー!
──アンバサダーは〈親善大使〉と和訳されますが、具体的にはどのような仕事をしているのでしょう?

「Jリーグが掲げる100年構想の理念に基づいて、地域密着、社会貢献の活動をしていこうというのが基本スタンスです。色々な施設を廻ったり、子どもたちのサッカー教室をしたり、講演をさせてもらったり。僕の場合は何でもやります(笑)。営業もやりますよ」

──営業ですか?

「アンバサダーって色々なチームにいますけれど、実際にどんな仕事をしているのか、あまり理解されていないと思いませんか?」

──確かに、漠然としたところがありますね。

「それを変えたかったんです。僕で終わりならいいんですけど、あとへつなげていきたい。ひとつの仕事として、チームに残したいんです。引退した選手のポジションを作っていかなきゃいけないと、ずっと思っていたものですから」

──名誉職のようなものではなく、きちんとした仕事として後進に引き継いでいきたい、と。

「営業でスポンサーをとってきたりすれば、『元サッカー選手でもできるんだな』とか、『アンバサダーっていうポストも必要なんだな』と、会社側に思ってもらえる。今年に関しては、既存スポンサーの増額と新規の獲得で、2600万円の契約を結ぶことができました。アンバサダーはチームの〈顔〉なので、僕は営業するべきだと思うんです」



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