マンボウやしろ×伊勢大貴 『時代に流されろ!』独占インタビュー
二人がシンクロするまでの道のりは……
ここで少し、そもそものきっかけを伺いたいと思うのですが……お笑いをやっているマンボウさんが脚本・演出を手がけるようになったきっかけとは何だったのでしょうか。
マンボウ:吉本に入って2年目ぐらいの時に、会社のある方に「長いものを作ったり書いたりする方が性格的に合うと思うよ」と言われたことですかね。そこから、その方と一緒にショーを観に行ったり、まねごとのようなことをいろいろやったりして…それをずっと続けているという感じですね。
それまでに個人的に脚本や何か文章を書いたり…もしくは演出をしたことがあるなどの経験は?
マンボウ:いやぁ、一切ないですね。その方にもあとでなぜそう思ったか聞いてみたんですけど、なんか「コントを見てそう思った」とおっしゃってました(笑)。
伊勢さんにもきっかけのお話を伺いたいのですが、そもそも、芸能界に入ったのは…?
伊勢:芸能界に入る前は養成所のタレントコースに入っていたんです。役者という仕事には特に興味がなくて、その当時は、ただただ「デビューしたい」「芸能界に入りたい」という思いだけでしたね。もともと歌が好きでやり始めたことだったんです。そのうち『ミュージカル「テニスの王子様」2ndシーズン』の舞台が決まって、それをやるようになってから「役者っておもしろいな」と思い始めて今に至ってます。仕事をやる中で仕事の楽しさを知っていった感じですね。
初めて役者をやった時に、セリフ覚えなど…苦労したことはありましたか?
伊勢:最初は芝居をすること自体が苦痛でしかたなかったです。恥ずかしいし。でも、この舞台はミュージカルなので歌があった。歌があることが僕の中ではとても嬉しいことで…そこが拠り所でしたね。あと、『テニミュ』に限っては半分部活みたいなところがあったので、芝居への苦手意識が消えるきっかけになったんじゃないかな。3年間やってたんですけど、回を重ねるうちに芝居に寄りそうようになっていったんです。その結果、今は役者として仕事が楽しいです。
本多劇場で舞台をやることには意味があった
『時代に流されろ!』は、前回は神保町花月でしたが、今回は本多劇場という、演劇の本場ともいう場での上演となるわけですが、本多劇場でやることについてどう思われますでしょうか?
伊勢:僕は単純に、劇場でやれるということが嬉しいですね。ホールなどで演じることもあるんですが、劇場って「さあ芝居やるぞ!」という気分にさせてくれるところがあると思うんです。下北沢という街もそんな気持ちにさせてくれます。「演劇の街」ですしね。
マンボウさんはいかがですか?
マンボウ:『時代に流されろ!』じゃない作品になりますが、15年くらい前に本多劇場で脚本・演出でやらせていただいたことがあるんです。それがすごくすべって…。準備がぜんぜんできてなかったんです。個人的に苦い思い出のある本多劇場だったんですが、今回、リベンジできる機会をもらえたと思っています。あと、役者さんと顔合わせした時に、伊勢さんが今回の作品が初主演だと知ったんですね。「こりゃ、初主演ですべらすわけにはいかん」って、決意を新たにしました(笑)。
伊勢:おお!(笑)
マンボウ:あと、伊勢さんのことも大きいですが、永野宗典さんはわざわざこの芝居のために京都から来てくださったり、他の役者さんたちも同じ…みなさんにお時間をいただいているわけですから、絶対すべりたくない。とにかくいいものにしたい気持ちですね。
ちなみに、そのすべっちゃった作品とはどんな…?
マンボウ:お笑いの作品だったんですけど…幕が開けてから後半の台本を楽屋で書いてました。
伊勢:ええっ!?
マンボウ:キャストは演じながら台本をもらい、指示されるという…ありえない状態でした。
伊勢:怖いなあ!
マンボウ:いや、ほんと怖かったですよ。いっぱいハゲができましたもん(笑)。