サッカー元日本代表 宮本恒靖 独占インタビュー
ブラジル・ワールドカップの足音が、もうすぐそこまで近づいている。われらが日本代表は国内の壮行試合を終え、時差の少ないアメリカで最終調整をはかってから現地ブラジル入りする。
日本代表の選手からは、「優勝を狙う」という声も聞こえてくる。イタリア人のアルベルト・ザッケローニ監督率いるチームは、どこまで勝ち進むことができるのか。日本の対戦相手の実力は? どんな選手に警戒すべきなのか? 日本代表として2度のワールドカップに出場した経験を持つ、宮本恒靖さんにうかがった。
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──宮本さんは若年層から代表でプレーし、17歳以下、20歳以下、23歳以下と、すべての世界大会を経験してきました。非常に高い経験値をお持ちだったわけですが、ワールドカップの緊張感は特別でしたか?
「違う種類の緊張感がありました。とくに2006年大会は、ワールドカップを知っているぶんだけ緊張感がありました。周囲のみなさんからのたくさんの期待がありましたし、自分たちでつかみ取った出場権ということもありましたので」
──そういえば、韓国と共催した2002年は予選がありませんでした。自分たちでつかみとったというのは、そういう意味ですね。
「いろいろな感情が混ざって、初戦のまえは緊張感がありましたね。でもまあ、あまり考え過ぎてもしかたがないなという思いもあって、試合にはいい形で入ることはできました」
──2大会目でも緊張感があるのはちょっと意外であり、なるほどと納得できるところもあります。それこそが、ワールドカップというものなのですね。
「2002年大会のベルギー戦は、初めてW杯のピッチに立つことへの緊張感でした。4年後のオーストラリアとの大会初戦は、色々なことを考えるゆえの緊張。今回も2回目の選手がたくさんいますが、気持ちの持っていきかたの難しさはあると思います。そこについては、人それぞれですが」
──日本の対戦相手は、コートジボワール、ギリシャ、コロンビアとなりました。グループステージの組み合わせについては?
「どこの国にもチャンスがあるのかな、と思います」
──3連勝もあり得るけれど、3連敗もあり得る、と僕自身は考えています。
「そういう見方もできるでしょうね」
──初戦のコートジボワール戦から展望していきましょう。
「ドログバ、ヤヤ・トゥーレ、ジェルヴィーニョといった選手は、世界のトップレベルです。センターバックだった僕の目線で語ると、やはりドログハをどう抑えるか」
──さて、どう対応しますか?
「チーム全体の守り方になりますが、これまで同様にコートジボワールが4-2-3-1で戦ってくるなら、1トップのドログバをセンターバックとボランチでうまく挟み込む。前線からプレッシャーをかけて、早めにボールを蹴らせることができれば、ドログバの周囲にサポートする選手がたくさんいることにはならない。彼を孤立させるように持っていけば、うまく囲みこめると思うんです」
──ヤヤ・トゥーレも厄介な選手です。直近のシーズンは、マンチェスター・シティで20ゴールを記録しました。
「そこまでゴールを取れる印象はなかったですが、シュート力を持っているのは間違いない。ドリブルもできるし、パスもできる。怖い選手です。抑えるのは難しいですが、彼のところでうまく引っかけてボールを奪うことができれば、日本にとってはチャンスになります」