【SOCCER NOTE】名波浩 独占インタビュー
──ブラジル戦やオマーン戦の本田は、中盤に落ちてくることが少なくなかったですね。
名波:本田の1トップ的な形を使うなら、彼が深いところにいるのが絶対条件。ボールに関わりたくて引いてきているのか、そこのところの理由は分からないけれど、対人プレーに強い選手だから、彼が深いところにいて開けてくれるスペースへ、2列目が自由に入り乱れていく──そういう”絵”を見てみたい。
──なるほど。
名波:1トップがときには深いところから落ちてきて、相手DFを引っ張るような動きを取ったときに、2列目の岡崎(慎司/シュツットガルト)が生きてくる。前田と岡崎は、阿吽の呼吸でそういう動きができる。抜群ですよ。
同じような関係を、1トップ時の本田にも求めたい。ブラジル戦とオマーン戦には岡崎が出場していなかったので、そこはこれからの確認事項ですが。
それは、香川(真司/マンチェスター・ユナイテッド)の生かし方でもある。ドルトムントでバリオスやレバンドフスキと組んでいたときは、彼ら1トップが深さを作ってくれて、ときに中盤へ落ちてきた瞬間に、香川がビュンと裏へ出ていく。先日のチャンピオンズリーグのファーストレグで、ファンペルシーと見せた関係もそうだった。空中戦の背後を狙うことが多かったかもしれないけれど、1トップの裏へ出ていく意識は読み取れた。サイドの2列目のストロングポイントを生かさなきゃいけないのも、1トップがゴールを背にしたときの仕事ですから。
──本田を1トップに置くと、中盤のポジションがひとつ空く。人材豊富な2列目の選手をより生かせる、ということになります。
名波:もちろん、ザッケローニ監督がそう考えているところはあるでしょう。香川、岡崎、清武(弘嗣/ニュルンベルク)、乾(貴士/フランクフルト)といった選手を使いたい思惑があっての、本田の1トップでもあるはず。もしくは、強い相手に対してボールをまわして主導権を握りたいとか、ポゼッション率を上げるとか。
──香川のポジションについてはどうでしょう? 代表では2列目の左サイドが基本ですが、彼本来のトップ下で見たいという声は絶えません。
名波:香川本人と話をしたら、どっちでもいいと言っていました。もちろん真ん中はやりたいだろうけど、いまはサイドでも楽しくやれているので、というスタンスだった。それならサイドでもいいんじゃないの、と僕は思います。
──今年6月には、FIFAコンフェデレーションズカップに出場します。プレワールドカップの位置づけとなるこの大会で、日本はブラジル、イタリア、メキシコと対戦します。
名波:対戦相手が非常にハイレベルなので、三者三様で戦い方も変わってくるでしょう。そこで、日本がどういう顔を見せるか。