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マジシャンと演出家の共通点は「人を楽しませること」なんです。
マジシャン歴が長い中で、ひやひやする経験っておありですか？
やはり、初めて人前で披露するものは「失敗したら…」っていう気持ちになることもあります。そんな時にはそう思わせたマジックはやりません。やるものを3つ4つ用意して行ってて、何をやりますと宣言してやるわけじゃないから「今日はこのマジックはやめておこう」とその場で判断し、ほかのものに変えますね。
用意するものの中には、クライアントさんが「あのマジックをやってください」というパターンもあって。でもそれは過去にやったことがあるからクライアントさんも頼むわけだから、そのマジックには緊張はないですよね。過去にやっているから。
そういう意味ではひやひやする瞬間というのはあまりないかもしれない。事前に回避していますから。でも、人間だから失敗することはありますよね。

もし失敗した時はどう対処されますか？
失敗しても、その失敗さえもお客さんが楽しんでくれればいいな、と思うんです。マジックの出来不出来も大切だけど、僕はお客さんが楽しんでいるかどうかの方が大切だと思うから。
マジックってオリンピックであってはいけない。サーカスじゃないと…って気づいたんです。「すげーだろ」というのは好きじゃないんです。僕は、人にすごいと思われることを楽しんでるわけじゃない。マジックをやっていること自体が楽しくて、そしてお客さんが楽しんでくれていることが嬉しいんです。

マジック以外にも演出などをされていますよね。
そうですね、お客さんが楽しんでくれるという点では、ライブや舞台の演出をするということはマジックと一緒で。ももいろクローバーZさんのクリスマスコンサートの演出やTUBEさんのコンサートの演出もさせてもらいました。他のマジシャンとかに「あんなすごいことアイドルにやらせるなんて…」と言われることもあるんですけど、アイドルさんでも手なんか抜きませんよ。全力でやりますから。全力でやってこそ、みんなが楽しめるんですし。

今後の目標とかあれば教えてください。
もう一度、ラスベガスに挑戦したいですね。2000年くらいに『ニンジャイリュージョン』というパッケージを作って、ラスベガスのホテルに売り込んでいたんですが、決まりかけていたところで寸前にぽしゃっているんです。あるホテルでやることになっていて、「ラスベガスで5位とか6位のプログラムになるだろう」とまで言われていたんですけどね…。ちなみに、ラスベガスでの1位のショーはシルク・ド・ソレイユとかなんだけど、1位のものって、見たいと思ってもふらっと入れるものではない。そうすると「何を見よう」と思ったお客さんは、他のプログラムを見に行くので、5位6位で十分なんですね。
そんな評価をもらうほどだったのに「俺の名前でやらせろ」というアメリカ人のマジシャンが出てきて…。それで断ったら「あいつを使うな」という締め出しが起こって潰されたんです。その人はカンフーショーみたいなことをやって、結局はぽしゃりましたけどね。
だからリベンジしたい！　それが目下の目標です。
あと…不定期でドラキュラの「ギュラさま」として舞台でマジックを披露しているんですが、結構、この「ギュラさま」を気に入ってるんです（笑）。自分とは違うキャラクターですから楽しくて。この舞台をもう少し増やしていきたいな。

最後に、このインタビューを読んでくださっている方にひとこと！
みんな、与えられるべき勲章はすでにその人に用意されているんです。自分の価値は自分の中にあって、そこに行き着きさえすればいい。自分という希少価値に気づいて！…それが、僕の経験してきたことから言えることかな。


ANXRA｜アンギュラ(マジシャン)オフィシャルブログ


取材・文／C&E Store