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【SOCCER NOTE】名波浩 独占インタビュー

現役時代は華麗なるレフティだった。
インテリジェンスに溢れたそのプレーは、いつだって我々の想像を上回るものだった。創造性や意外性といった概念が日本のサッカーに根づいたのは、ジュビロ磐田で背番号7が、日本代表では背番号10がお馴染みだった彼によるところが大きい。
解説者として活躍する現在は、分かりやすく的確な分析が好評だ。局面を鮮やかに切り取りながらゲーム全体の方向性を伝える語り口は、サッカー観戦初心者からも、熱心なサポーターからも、高い支持を集めている。
好評連載『SOCCER NOTE』の第8回は、3月下旬から国際試合が続くサッカー日本代表について、ご自身の現在(いま)について、名波浩さんに語っていただいた。

日本代表は階段をひとつずつ上がってきた

──ブラジル・ワールドカップのアジア最終予選、対ヨルダン戦が3月26日に行なわれます。勝てば予選突破が決まる重要な一戦ですが、アルベルト・ザッケローニ監督就任後の日本代表を、名波さんはどのようにご覧になっていますか?
名波:2010年夏の南アフリカ・ワールドカップ後にザッケローニ監督が就任して、メンバー的な試行錯誤とシステムの摺り合わせを、階段をひとつずつ上がるように進めてきた印象があります。結果もついてきているし、個々のスキルアップという意味でも非常に良い方向へ進んでいますね。

──名波さんが仰るとおり、最短距離を突き進んできた印象があります。ヨーロッパでプレーする海外組も、南アフリカ・ワールドカップ後にどんどんと増えています。
名波:海外でプレーする選手の場合、所属クラブが大きくなるほど強い相手との試合が増え、試合数も過密になっていく。そのあたりを代表チームの立場で考えると、すべての試合に出ることが必ずしもOKというわけではない。ケガのリスクとかメンタルの疲労とか、色々な不確定要素が入ってくるので。選手心理としてはすべての試合に出たいと思うだろうけど、それぞれが置かれている状況は総じて悪くないですよ。
【SOCCER NOTE】名波浩 独占インタビュー
──日本代表は4−2−3−1のシステムを基本としてきましたが、昨年終盤は本田圭佑(CSKAモスクワ)を最前線に起用したゼロトップをテストしています。ザッケローニ監督はどんな狙いを持っていると推察しますか?
名波:どちらかひとつに絞り込むわけではなく、二つのシステムを将来的に使い分けるためのチャレンジだろうなと思いますね。僕はゼロトップとは思っていなくて、本田の1トップという理解なんだけど。
 その1トップについて言えば、昨年10月のブラジル戦も、昨年11月のオマーン戦も、素晴らしくハマったとは思わない。そうかと言って、ひどく悪かったとも思わない。テストケースとしてはいいチャレンジだったけれど、個人的には違った選択肢のほうがいいんじゃないかなあ、と。

──と、言いますと?
名波:現状では前田(遼一/ジュビロ磐田)を1トップに置いたほうがいい、というのが僕の意見です。周りの選手を生かす術を、彼は知っているから。
 ザッケローニ監督のサッカーを僕なりに解釈すると、きっちりボールをつないで、全体が連動して後ろから出てくる選手をなるべく使っていく。もしくは、使うふりでもおとりでもいいから、後ろから出てくる選手もボールに関わる。
 そういう意味では、一番深さを作らなきゃいけない1トップが(中盤へ)落ちてくることによって、前に人がいないという形は作らないほうがいいと思う。なぜなら、相手DFを引っ張れないから。
 1トップが相手DFを引っ張ることによって、ギャップが生まれる。そのギャップを後ろから出てきた選手が突くというイメージを、ザッケローニ監督は持っているんじゃないかと思っている。
【SOCCER NOTE】名波浩 独占インタビュー
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