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さくらしめじ、演劇×ライブを織り交ぜた新感覚エンタメライブ開催画像あり

4月05日

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田中雅功(たなか・がく)と髙田彪我(たかだ・ひょうが)からなる新世代フォークデュオのさくらしめじが、“幸せの日”に認定されている4月4日(日)に東京・中野サンプラザにてワンマンライブ『春しめじのお花し』を行った。

さくらしめじが中野サンプラザでライブをするのは、2018年12月のクリスマスライブ以来、約2年ぶり2度目。この日は昼夜2公演で、「おふたり編」と題した昼公演は二人の弾き語り、夜公演の「おなかま編」はバンド編成と演奏スタイルは違えども、本編のセットリストは共通。「春のお花し(おはなし)」というタイトルからもわかるように、雅功による脚本を元にした、さくらしめじ史上初めてとなる本格的な演劇を取り入れた新感覚エンタメライブで、ギターデュオとして、個人として、二人の新たな可能性と各楽曲のさらなる広がりを感じさせてくれるものとなった。



冒頭はいきなり二人のナレーションとお芝居から始まった。舞台は滑り台やブランコ、ベンチや花壇を備えた、大きな木のある公園。雅功がおじいちゃんから聞いたという“幸せな花を咲かせるきのこ”の存在を彪我に教えると、彪我はステージの中央で大きく手を広げ、「幸せになりたーい!」と絶叫。そんな彪我に対して雅功が「じゃあ、一緒に育ててみようよ」と誘い、二人できのこに向かって、「いまでで一番幸せだった時のこと」を思い出しながら、幸せパワーを念のように送るが、キノコはなんの反応も見せない。そこで、二人は突然、大勢の観客に見られていることに気づき、「僕たちと一緒に、このきのこを育ててくれませんか?」と投げかけると、場内からは温かい拍手が沸き起こった。しかし、観客の力を借りてもきのこは花を咲かせない。ここで諦めかけた雅功が、彪我に「今までで一番幸せなこと、何を思い出した?」と問いかけると、彪我は「僕はね、二人で一緒に歌ってる時のことを思い出してたよ」と返答。雅功は「僕も全く同じことを考えてた。やっぱり歌ってる時が一番楽しいよな。そうだ、今から一緒に歌いませんか?」と客席に語りかけたのを合図に、初のヘッドセットによるライブはスタートした。

今年3月にリリースした2ndミニアルバム『ボタン』には、リバイバル企画と題したセルフカバー曲が収録されていた。過去の楽曲の歌詞を改めて見つめ直し、多層的な捉え方を提示した二人だが、その姿勢はこの日のライブも同様だった。本来は妄想ラブソングである1曲目の「えそらごと」だが、『春しめじのお花し』においては、これからハラハラドキドキするようなストーリーが待っていることを伝える、公演を舞台にした音楽劇の華やかなオープニングナンバーのように聴こえた。続く、「Bun! Bun!BuuuN!」で観客と一緒に笑顔でタオルを振り回して、会場の熱気を一気に上昇させると、きのこが音を鳴らして反応。彪我は「幸せだなという思いが歌に乗ってきのこに伝わったのかもしれない。もっと歌えば、もっと幸せが届いて、成長して花が咲く」と確信。雅功は「みんなでもっともっと幸せという気持ちをこのきのこに送りましょう」と語りかけて第二幕へ。

変化を恐れず、自分を信じて前に進もうという決意を込めた「風とあるがままに今を歩こう」。「ポケットからキュンです」が大ヒットした同世代のシンガーソングライター・ひらめと共作した、明日の希望を込めた女性目線のラブソング「ストーリーズ」。そして、何度でも起き上がるだるまに自身を重ね、今よりちょっとだけ素敵になろうと誓った「だるまさんがころんだ」と、過去を振り返りつつ、現在にしっかりと足を着け、少し先の未来に目を向けた3曲をきのこに向かって歌い上げたが、きのこは先ほどより反応が薄く、二人の間には次第に険悪なムードが漂っていく。

「そもそも幸せってなんだろうね。幸せの定義から考えていく必要があるんじゃない?」という雅功の問いかけから始まった第三幕では、二人が言い争いをはじめてしまう。「いつも人任せだし、話を聞いてない」という雅功に対し、彪我は「雅功が勝手に突っ走ってるだけだろ」と言い返すと、雅功は「ふざけんな。顔も見たくねーよ。お前となんか歌うか!」と声を荒げて激昂。胸ぐらを掴み、殴り合う寸前にまでいってしまった二人は、彪我作のミクスチャーロック「たけのこミサイル」で歌とラップ、そして、エレキギターに怒りや苛立ちをぶつけ、演奏中も睨み合ったままで、「お前、まじふざけんなよ!」「お前となんか歌うか!」と罵り合う始末。「一生、一人で歌ってろ!」「ああ、そうするよ」と珍しく背中を向けて離れていく二人。これまでに見せたことのない二人の表情や口調に観客はただただ戸惑うばかり。まるで本当に喧嘩をしているような迫真の演技に気圧されるように、場内はしんと静寂に包まれる中で三幕は終了した。

 

第四幕は仲直りがテーマ。気まずく沈んだ雰囲気のままの公園で、雅功が「ちょっと言い過ぎたかな。でも、二人の時より、一人の方が気が楽かな。一人の方が伸び伸び歌えるし」とうそぶくと、キノコが不協和音を鳴らす。「どうしようかな? 謝った方がいいと思います?」と観客に尋ねる雅功。しかし、二人ともなかなか素直に謝ることができず、無言の時間が過ぎていく。やがて、彪我が「歌だったら、伝えられるかな」と語り出し、ひとりぼっちの“僕”が“のらねこ”に語りかける「またたび」を歌唱。ステージの端と端で、遠く離れたままで歌う二人は、まるで喧嘩して家を飛び出し、ひとりで彷徨っている猫のようにも見えた。雅功が作詞に加わった大人の失恋ソング「別れた後に僕が思うこと」では、<ボタンの掛け違い>や<ひとりでも大丈夫/二人だから言えたんだ>という歌詞が先ほどの二人の喧嘩を想起させつつ、最後の<ありがとう/ごめんね>というフレーズをきっかけに二人が向き合って暗転。追っかけコーラスやハーモニーが印象的な「My Sunshine」で力強い歌声を重ね、きのこにではなく、お互いに向かって歌うことで、すれ違ってばかりだったふたりは、ついに仲直りを果たした。

すると、先ほどまで緑の葉っぱだった大木が幸せの花を満開に咲かせ、物語はいよいよクライマックスへ。「やっぱり、二人でギターを弾いて、歌ってる時が一番楽しい」と声を合わせる二人。雅功が「会いたくても会えない日々がずっと続いてて。でも、みんな、時間が止まってたわけじゃないと思うんだ。僕たちとみんなの中では、ちゃんと時間が動いていたし、会いてくても会えないっていう時間があったからこそ、僕たちはもっともっと繋がったんだなと思う」と語りかけると、彪我は「それもさ、みんなで笑って会える日がくるってずっと信じていたからこそ、こうやって会えたんだよね」と続け、雅功は「だから、みんなに向かって二人で、今、一番唄いたい歌を思いっきり唄いたい」と叫び、自粛期間中にファンとともにリモートで作り上げた「会いに行こう」を熱唱。1部では雅功のヘッドセットマイクがあまりの熱演のために水没。急遽、マイクを外し、アンプもスピーカーも通さずに弾き語りで歌ったが、2部では幼稚園児や野球少年、サッカー小僧やガーデナーに扮したバンドを従えて、全力で唄いきった。公園の空に紙吹雪が舞う中で、<ごめんじゃなくて/ありがとう>を歌の言葉として伝え、歌詞にある<桜舞う頃に会いにいく>という約束も実現。俳優として朝の連続ドラマ小説「おかえりモネ」に出演する彪我と、小説家デビューを果たした雅功という二人の個性を生かしたキャリア初の音楽劇は終幕を迎えた。


昼公演のアンコールでは、旗揚げゲームを盛り込んだ「しめじ体操」で観客と一緒に明るく元気に歌い踊り、まだ音源化されてない「天つ風」を披露。夜公演では「青春の唄」を音楽への情熱をたっぷり込めてパフォーマンスし、みんなが笑っていますようにという願いを込めた「みちくさこうしんきょく」では、心の中での<ラララ>の大合唱も起きた。最後に「未来を見て歩んでいきたい」とまっすぐに前を見据えて決意を語った二人がステージを後にすると、この日のためだけに作った新曲「お花し」(昼公演は弾き語り/夜公演はバンドアレンジバージョン)がエンディングテーマのように流れ、青春映画を見終わった後のような幸福な余韻を残してくれた。

なお、この日のアンコールでは、7月18日(日)にZepp Diver Cityにてワンマンライブ「さくらしめじのゼップでロッ菌! 2021 in Zepp Diver City」を開催することが発表された。また、この日も披露した「ストーリーズ」は、泉里香主演のドラマ「高嶺のハナさん」の主題歌への起用が決定している。


(文:永堀アツオ)


情報提供元:WWSチャンネル
記事名:「さくらしめじ、演劇×ライブを織り交ぜた新感覚エンタメライブ開催」




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