「2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会」の期間中、旬の情報をお届けします。【第3回目】
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■ ブラジルW杯は悔しいスタートなりました。
現地時間の6月14日に行われたコートジボワールとのグループステージ第1戦で、日本は1対2の逆転負けを喫しました。「W杯は初戦が重要」と当たり前のように言われますが、その理由はどこにあるのでしょう?
日本が初出場した1998年のフランス大会から、W杯は32かが8つのグループで争う大会方式となっています。そして、グループステージを突破してベスト16へ進出した国の戦いを調べると、黒星スタートで勝ち上がったチームは4つしかないのです。
グループステージを勝ち抜くための勝点は、「5」以上が目安と言われています。勝点は勝利3、引分け1です。初戦を落としてしまうと、残り2試合に連勝しなければ「5」以上に届きません。コートジボワール戦に敗れた日本が危機感に包まれているのは、ギリシャ戦、コロンビア戦で勝利が絶対条件となったからです。
■ 日本の特徴はボール支配率を高め、テンポ良くボールを動かしていくところにあります。
トラップをしないワンタッチのパスも効果的に織り交ぜ、相手にボールを奪うポイントを絞らせないのです。しかし、コートジボワール戦では〈日本らしさ〉を発揮することができませんでした。原因はどこにあったのか。
香川真司(25歳)の見立てを聞いてみましょう。
「相手も予想以上に強かったというか、隙があまり……そのまえに僕たちが自滅してミスをしたところもあったんですけど。とくに攻撃のところで絶対にできる、隙はあると信じて(ゲームに)入りましたけど、どうしても動きがかたかったり。個人的にもそうで、そこでトライできなかったんじゃないかと思っているし。W杯の雰囲気も含めて、自分は力が出せなかったというのが実力だと思うし。ただ、このまま終わるわけにはいかない。絶対にできると信じて、修正していきたいです」
ダブルボランチの一角としてフル出場した山口蛍(23歳)も、「悔しい思いしかない」と切り出します。相手のキーマンだったヤヤ・トゥーレを「意識し過ぎた」と、表情に悔しさをにじませました。
「自分たちの良さを出せなかった。こっちがやらなきゃいけないことを相手にやられた。W杯初出場の満足感? 全然ないです」
選手たちの話から見えてくるのは、初戦だけに戦い方が慎重になったということと、相手をリスペクトし過ぎてしまった、ということです。1試合の結果がずしりと重くのしかかる、W杯ならではのメンタリティと言えるでしょう。
五輪に出場するアスリートは、4年に1度の舞台を待ち望むとともに、大きなプレッシャーを感じると言います。五輪と同じサイクルで開催されるW杯を戦う日本代表の選手が、似たような思いに駆られても不思議ではありません。2010年以降の4年分の苦労と、努力と、葛藤と、プライドと、悔しさと、意地と、汗と、人知れず流した涙を、グループステージの3試合に注ごうとしているのです。
ましてや、重要度の高い初戦です。4年前の南アフリカ大会を経験している選手には、W杯という舞台を知っているからこその難しさもありました(宮本恒靖さんのインタビューをぜひご参照ください)。チームの戦術、個人の技術、個人のメンタルが複合的に絡み合い、1対2という結果につながってしまったのでしょう。
勝てなかったのは残念で、日本らしいサッカーができなかったのはもっと残念です。ただ、日本はまだ何も失っていません。残り2試合に連勝すれば、2大会連続のベスト16入りは可能です。
■ 日本の第2戦は、日本時間の20日朝7時にキックオフされます。
対戦相手はギリシャです。ヨーロッパの多くの出場国と同じように、ギリシャは体格で日本を上回ります。ヘディングの強さが威力を発揮するコーナーキック(CK)やフリーキック(FK)には、十分に警戒しなければなりません。リスタートと呼ばれるCKやFKを与えないことも大事で、とくに日本の反則によるFKはできる限り避けたいところです。
ギリシャが得意とする攻撃のパターンは、奪ったボールを素早く攻撃へつなげるカウンターアタックです。
この試合をテレビで観戦する方は、日本が攻撃している局面でギリシャのフォワードがどこにいるのかを注視してみてください。その選手がフリーになっていたら、カウンターを受けてしまうリスクがあります。勝つためには得点が必要ですが、失点しない準備も並行して整えなければなりません。
名前を憶えてほしい選手はふたりいます。背番号15のトロシディスと、背番号7のサマラスです。
トロシディスは右サイドバックですが、カウンターアタックでは思い切って攻撃に参加してきます。対面する長友佑都(27歳)のように、オフェンスでもチームに貢献できるサイドバックです。
また、攻撃的なポジションもこなすことができるので、パスやシュートのセンスにも優れます。日本の左サイドでぶつかり合う長友とのマッチアップは、この試合のひとつのポイントになるかもしれません。もちろん、長友がトロシディス抑えてくれるはすです!
ふたり目のサマラスは、左サイドを中心に稼働する攻撃のプレーヤーです。長髪をなびかせながらドリブルでボールを運び、精度の高いボールをゴール前へ入れてきます。
カウンターの局面では、彼にも注意しなければなりません。サマラスへの対応は、右サイドバックの内田篤人(26歳)が担当することになるでしょう。
ギリシャにはもうひとり、ミトログルという選手がいます。背番号9を着けたストライカーで、欧州予選ではチームの得点源として活躍しました。
ところが、今年に入ってからケガに悩まされ、それによって所属クラブで出場機会を失う悪循環に陥りました。コロンビアとの第1戦もスタメンから外れ、途中出場した後半のプレーもいまひとつでした。
もっとも、ストライカーはちょっとしたきっかけで調子を取り戻すものです。ミトログルは潜在能力の高い選手ですから、現在の調子にかかわらず警戒レベルは保ったままであるべきでしょう。1本でも鋭いシュートを許したら、日本の選手は気持ちを引き締めなければなりません。
最後に、本田圭佑のコメントを紹介しておきましょう。6月13日に28歳の誕生日を迎えた日本のエースは、黒星スタートを乗り越えていく決意を胸に秘めています。
「我々が狙っているのは、1本でも多くのチャンスを作り、取られても取り返すサッカー。それを貫けば、この難しい状況も打開できる」
(次回はギリシャ戦を受けて、コロンビア戦の前に更新します)
戸塚啓[トツカケイ]
1968年神奈川県生まれ。法政大学法学部卒業。サッカー専門誌編集部記者を経て、98年からはフリーのスポーツライターに。新聞・雑誌等の執筆に加え、J‐スカイスポーツでリーガ・エスパニョーラとJ2リーグの解説でも活躍。