「2014 FIFAワールドカップ ブラジル大会」の期間中、旬の情報をお届けします。【第4回目】
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■ 日本代表が追い詰められています。
グループステージは2試合を終えて1分1敗で、コロンビア、コートジボワールに次いで3位となっています。2連勝のコロンビアはすでに2位以内を確定し、ベスト16入りが決定しました。日本が決勝トーナメントへ滑り込むには、コロンビアとの第3戦に勝利し、コートジボワールがギリシャと引き分けるか負けることが条件となります。同時刻開催の2試合が始まれば、状況は刻々と変わるでしょうが、現状では2点差以上でコロンビアに勝たなければなりません。
厳しいです。本当に厳しいです。
「これまでチームがひとつになっていないわけではないですが、より一層ひとつになることが大事だと思います」
ここまで2試合連続でフル出場している山口蛍は、引き締まった表情で話します。攻守のつなぎ役となるボランチの一角を担う彼は、ブラジルのメディアにも紹介される日本の注目選手のひとりです。
23歳の山口の意見に、32歳のベテラン大久保嘉人も寄り添います。
「チームの雰囲気は悪くないですよ。悪くはないけど、勝ってないからね。でも、次の試合は2点差以上つけて勝たなきゃいけないと、みんな腹をくくっている。それによって、さらにチームがまとまっているというかね」
勝つだけでなく得失点差も関わってくる難しい状況では、試合中の臨機応変な対応も必要になってきます。ただ、「そっち(コートジボワールの試合経過)のことを考えるよりも」と前置きをして、大久保は続けます。ギリシャ戦との第2戦で攻めの姿勢を示したストライカーは、得点の予感を感じさせる選手です。
「自分たちが勝つことに集中する。それが一番大事でしょう」
これには吉田麻也が賛同します。
「コートジボワールの動向は、選手があまり気にすることでもない。コロンビアに勝つことが絶対条件なので。気を付けたいのは相手のカウンターとセットプレー。守備の選手として、相手の攻撃の色々な選択肢にそなえるところはあるけれど、それよりも監督が言うように、自分たちのサッカーにフォーカスしたほうがいい。とくにコートジボワールとの1試合目は、相手を意識し過ぎたところがあったので。もっと自分たちの色を出したいし、コロンビア戦を最後の試合にしたくない。このチームでもっと戦いたい」
■ 過去2試合の悔しさをぶつけたいと、選手たちは口を揃えます。
ここまでシュート「0」に終わっている岡崎慎司は、「無心」を強調します。「自分の一番の武器のガムシャラさが、攻撃で出ていない。色々考えてサッカーをやっている自分がいる。2試合を終えて自分にがっかりしているし、これまでも何回もがっかりしてきた。できるのはガムシャラにやること。考え過ぎずに無心でプレーしたい。自分たちはまだ終わりじゃない。可能性が残っている。2点差以上つけて勝てば結果がついてくると信じてやってるし、W杯でも成長できるところを見せたい」
岡崎が「無心」を強調すれば、本田圭佑は「基礎」という言葉を使います。「自分自身を信じて、仲間を信じる。いまこそ基礎に戻る」と。
「コートジボワール戦もギリシャ戦も、誰も予測できないことが起こっている。だからこそ、ニュートラルな状態で挑み、その瞬間、瞬間で選手が判断をしてゴールを奪いにいく。それができなければ、どの相手にも勝つのは難しい」
対戦相手の実力が上がるほど、思いどおりにはいかないのがサッカーです。ましてやW杯では、対戦相手が自分たちの良さをことごとく潰そうとしてきます。本田が選手自身の判断の重要性を説くのも、監督の指示どおりにプレーするだけでは相手の予想を上回ることはできず、ゴールにつながる即興性も生まれないからでしょう。
■ 過去2試合を振り返ると、日本はサッカーをきれいにやろうとし過ぎていると感じます。
分かりやすいのは攻撃でしょう。日本はパスをきちんとつないで、相手の守備を崩してから、シュートを打とうとします。ちょっと無理をすればシュートを打てる場面でも、かなりの確率でパスをつなぎます。それが悪いとは言いません。しかし、パス、パス、パスという攻撃は相手側も予測しやすく、マークがズレません。GKもシュートに備えて準備をする時間があります。
サッカーでもそのほかのスポーツでも同じですが、強引な攻撃を受けるほうが守備側は嫌なものです。シュートを打たれると、誰かに当たってコースが変わり、日本選手の足元にこぼれることがあります。偶然と言ってしまえばそれまでですが、シュートを打つ=ゴールを狙うことで、偶然や幸運という要素が入り込んでくるのです。
日本はまだ、自分たちのサッカーを見せていません。
客観的視点に立っても、日本はもっとできるはずです。このチームの力は、こんなものではありません。日本時間の6月25日早朝にキックオフされる一戦では、自分たちの持ち味を解放してほしいものです。
今度こそ、最初から、最後まで、余すところなく。
戸塚啓[トツカケイ]
1968年神奈川県生まれ。法政大学法学部卒業。サッカー専門誌編集部記者を経て、98年からはフリーのスポーツライターに。新聞・雑誌等の執筆に加え、J‐スカイスポーツでリーガ・エスパニョーラとJ2リーグの解説でも活躍。