INTRODUCTION
『パリ3区の遺産相続人』×『ハッピーエンドの選び方』×『海賊じいちゃんの贈り物』『龍三と7人の子分たち』に続くシニア映画旋風が再び到来!? メインキャストの平均年齢70歳超えという異色のキャストが話題を呼んだ映画『龍三と7人の子分たち』。「金なし、先無、怖いものなし!ジジイが最高!!」というキャッチフレーズがまるでブームのように幅広い世代で話題となり、映画は大ヒットとなった。そしてこの秋、今度はミニシアターでお爺ちゃんお婆ちゃん映画のブームが到来! 11月14日(土)に公開されるのはマギー・スミスが出演する映画『パリ3区の遺産相続人』。マギー・スミスが演じるのは、ニューヨーカーのマティアスの亡き父の遺産として残した高級アパルトマンに住み着いていたお婆ちゃんのマティルド役。本作で実年齢79歳ながら90歳のお婆ちゃんを演じたマギー・スミス。腰が曲がり、杖を突いて歩く姿はどこか頼りなく哀愁も感じるが、マティルドから発せられる言葉は茶目っ気もあり、その自由奔放ぶりもどこか憎めない。娘の行く末を案じる母の顔も印象的で、映画全編を通して名女優マギー・スミスの名演技を堪能できる1作となっている。 |
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父の遺したアパルトマンの契約が導く出会い、そして秘められた恋と家族の物語 「あなたに愛されないなら、誰の愛もいらない」 ── 運命の恋は、甘く切ない思い出。でもその恋によって傷ついた人がいたとしたら...... 舞台はパリ・マレ地区。疎遠だった父親が亡くなり、パリの高級アパルトマンの遺産相続のためニューヨークからやってきたマティアスは、早く売り払って借金を清算し、人生をやり直すつもりだった。ところが、フランス独特の厄介な不動産売買制度「ヴィアジェ」が立ちはだかる。アパルトマンに長年住んでいる元所有者の老婦人マティルドが亡くなるまでは売ることができず、さらに毎月、彼女に対して年金を支払い続けなければいけないというのだ!マティアスの父親は、なぜ家族を置いて異国のパリに通い、このアパルトマンを買い取ったのか? 遺産を継ぐことは、その人の過去すべてを受け入れること。マティアス、マティルド、そしてマティルドの娘クロエは、遺産を巡る出会いをきっかけに、長年胸に秘めてきたそれぞれの思いを打ち明けることになる。やがて亡き人が本当に遺したかったものが何だったのかを3人は見出していく。人生を見つめ直す心の旅を描いたこの物語は、一歩でも足を前に踏み出せば世界がちがって見えてくる、そんな希望を与えてくれる作品である。 アカデミー賞俳優の競演が魅せる、細やかな感情表現と人生の哀歓 マティアスを演じたケヴィン・クラインは、アカデミー賞助演男優賞受賞の『ワンダとダイヤと優しい奴ら』をはじめ、シリアスなドラマ『ソフィーの選択』、恋愛ドラマ『五線譜のラブレター DE-LOVELY』、そしてコメディ『ラストベガス』まで幅広く演じ、数々の賞に輝く名優である。舞台でもトニー賞受賞2回という演技力を本作でも十分に発揮している。老婦人マティルド役のマギー・スミスは、シェイクスピア作品など数多くの舞台で活躍する一方で、映画でも個性が光る大ベテラン女優。『ミス・ブロディの青春』『カリフォルニア・スイート』で2度のアカデミー賞を受賞し、近年では『ハリー・ポッター』シリーズのマクゴナガル先生や、NHK放映の大人気海外ドラマシリーズ「ダウントン・アビー」の伯爵夫人が印象的だ。娘クロエを演じるクリスティン・スコット・トーマスは、『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞にノミネートされたほか、『ミッション:インポッシブル』などのメジャー大作とともに、フランス映画の佳作にも数多く出演。また『海辺の家』でケヴィン・クラインと夫婦を演じ、『ゴスフォード・パーク』ではマギー・スミスと共演している。 皮肉の効いたセリフの掛け合いで物語を熟成させ、絶妙に息のあった芝居を見せる3人の名優でなければ、これほどの極上ドラマにはなりえなかったことだろう。 その他、『デリカテッセン』『アメリ』などジャン=ピエール・ジュネ作品に欠かせない個性派ドミニク・ピノンが親切な街の不動産屋に扮し、『マスカレード/仮面の愛』『ふたりの5つの分かれ路』のステファン・フレイスが、スマートだが計算高いビジネスマンを演じるなど、芸達者なフランス人俳優が脇を固めている。 パリ・マレ地区 ── 歴史と今が共存する、最もパリらしい街が舞台 本作は、『いちご白書』『さらば青春の日』などの映画台本や、数多くの舞台脚本で知られるイスラエル・ホロヴィッツの初監督作品。ニューヨークでの初演後、フランスをはじめ世界各国で上演され大ヒットしたホロヴィッツのオリジナル舞台劇を元に、監督自身が脚本を手掛け、パリでのロケが実現した。アパルトマンの舞台になっているのは、セーヌ右岸のマレ地区。17世紀の貴族の邸宅を残す歴史的な街並に、おしゃれなブティックやカフェなど新しい店が並び、パリを知り尽くしたパリっ子にも人気のスポットだ。そして、歴史と今が息づいているこの街こそ、過去を引き継いで未来へ向かおうとするこの物語の舞台にふさわしい。 実際の撮影は、パリ南部、織物ゴブランの名を冠した通りにある、17世紀初頭に作られたタペストリー工場や職人の住居だった建物で行われている。他にもアメリカ人マティアスの目線で、セーヌ川の風情などパリの日常風景を切り取ってみせたのは、『パリよ、永遠に』『ライフ・イズ・ミラクル』の撮影監督ミシェル・アマテュー。 |
STORY
パリの3区と4区にまたがるマレ地区。マティアス・ゴールド(ケヴィン・クライン)は疎遠だった父親が亡くなり、相続した遺産のアパルトマンを調べにニューヨークからこの街にやって来た。離婚3回、子どもはなく、持ち家を処分しても借金だけが残った彼にとって負け犬人生をリセットできるチャンスかもしれないのだ。アパルトマンは部屋数が多く、しかも庭付きとわかり、高く売れそうだと期待するが、誰もいないはずのアパルトマンには、イギリス生まれの老婦人マティルド・ジラール(マギー・スミス)が住んでいた。驚いたことにフランス伝統の不動産売買制度「ヴィアジェ」によって、元の所有者であるマティルドが亡くなるまで売却できない上、毎月2,400ユーロを年金のように支払い続けなければならないという。憎んでいた父親から相続したのは負債だとわかり、最後にまたしても裏切られたと怒りがこみあげるマティアスだったが、持ち金もなくニューヨークにも帰れず、仕方なくマティルドに部屋を借りることにする。夜になると仕事から帰って来たマティルドの娘クロエ(クリスティン・スコット・トーマス)と鉢合わせし、月末までにお金を支払わなければ不法侵入で訴えると脅される始末だ。クロエは、母親が亡くなったらアパルトマンが売られ、自分は住む家を失うと不安に駆られていたのだった。 |
CAST & STAFF
監督・脚本:イスラエル・ホロヴィッツ 撮影監督:ミシェル・アマテュー 音楽:マーク・オートン |
『パリ3区の遺産相続人』 |