INTRODUCTION
愛する人の究極の選択をあなたならどう受け止めますか? 輝きに満ちた幸せな瞬間も、どうにもならない悲しみに打ち震えた時も、あまりの理不尽さに爆発させた怒りも、そして後悔の念も…。 人は、様々な出来事や、それによって生じる感情の激しい起伏をなんとか受け入れて、長い人生をひたすら歩んでいく。そして、やがて最期の時を迎えることになるのだが、そこで気にかかるのは<人生の終わり方>かもしれない。もちろん、誰しも、できることなら心穏やかに、心残りなく、愛する人々の温もりを感じながら、終焉を迎えたいと思う。しかし、高齢化社会や核家族化に長じて起こる介護問題や終末医療の是非などが取りざたされる現代にあって、それはいくら望んでいても、自分自身でコントロールできるのだろか? 『母の身終い』は、そんな思いや不安を抱く私たちに、ひとつの終焉のケースを紹介し、人生のあり方や、最期への心がまえ、そしてなにより愛を、あらためて問う荘厳な人間ドラマだ。 |
STORY
48歳のトラック運転手アランは、出来心から麻薬の密売に手を出して服役し出所してきた。そして、仲の悪い母イヴェットの家に身を寄せて、なんとか人生の再出発をしようとあがいていた。ふたりの間には長年にわたって根深い確執があり、ふたつの心は簡単には解け合わない。年老いた母親は、脳腫瘍に冒され死期も間近い。そんなある日、息子は、母の薬が入った引き出しの中の書類を手に取って愕然となる。そこには、“尊厳死の表明”“スイスの施設で尊厳死”“人生の終え方を選択する”といった文章が書かれ、母のサインがあったからだ。アランの心は激しく揺り動かされる。ふたりの残された時間は、あまりにも少ない。そしてついに母が旅立つ日の朝がやってきた……。 |
CAST & STAFF
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監督は、セザール賞3部門にノミネートされた『愛されるために、ここにいる』(05年)で注目を集めたステファヌ・ブリゼ。 息子アランを演じるのは演技派として評価の高いヴァンサン・ランドン。母イヴェットを演じるのはベテラン、エレーヌ・ヴァンサン。 |
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『 母の身終い』 |