INTRODUCTION
“深く結びついたふたつの魂は、時を越え、愛する者たちを再び惹きつけあうのかー マシュー・マコノヒーの主演男優賞を始めアカデミー賞3部門を制した『ダラス・バイヤーズ・クラブ』(13)で注目されるカナダの気鋭ジャン=マルク・ヴァレの『カフェ・ド・フロール』は、時代を横断する“魂の旅”を描いた切なく、スピリチュアルで美しいラブストーリーである。「この作品での最大の発見」とジャン=マルク・ヴァレ監督に絶賛されているのが、1960年代のパリで生きるシングルマザー、ジャクリーンを演じているバネッサ・パラディだ。13歳で歌手デビューして以来、音楽界でも目覚ましい活躍をする一方、ジャン=クロード・ブリソーの『白い婚礼』(91年)でスクリーンデビュー。女優としてのキャリアも着実に築いてきた。ジョニー・デップとの間に1男1女をもうけ、2000年代は母親業を優先させていたが、ジャクリーン役はまさにときに厳しく、子供に無償の愛を注ぐ、チャーミングで決断力のある強き母を見事に体現している。音楽を生業としているDJアントワーヌを演じているのは、ミュージシャンのケヴィン・パランである。本作が映画デビュー作となるパランは、DJシーンなど本業のキャリアが生かされたシーンはもとより、演技経験がないとは思えないほどの豊かな感情表現力が高く評価され、俳優としても最上のスタートをきった。たおやかな愛と官能の象徴である、アントワーヌの新しい恋人ローズを演じるのは『トム・アット・ザ・ファーム』で知名度を挙げた、エヴリーヌ・ブロシュ。カナダの実力派の確かな演技力は、幻想的なモチーフを多様したスピリチュアルな物語を真実味のあるものにしている。 |
STORY
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1969年フランスのパリ。シングルマザーとして障害を抱える息子を育てる美容師のジャクリーヌにとって、息子ローランは唯一の生き甲斐だった。現代のカナダのモントリオールでDJとして活躍するアントワーヌ。彼には2人の娘と、大切な恋人ローズがいて、両親も健在。生活にも不自由していなかったが、別れた妻キャロルは、離婚の痛手から立ち直っていない。異なる二つの時代を生きる男と女、そして母と息子の愛。彼らの人生は、時間と空間によって隔たてられながらも、神秘的な“愛”によって紡がれていく。しかし、運命が導く幸福と執着、そして悲劇を理解した時、それぞれが人生の選択を迫られることになる。 |
CAST & STAFF
監督・脚本:ジャン=マルク・ヴァレ『ダラス・バイヤーズクラブ』『ヴィクトリア女王 世紀の愛』 |
カフェ・ド・フロール |