INTRODUCTION
カンヌに愛されたイタリアの奇才 新作を発表するたびに、権威あるカンヌ国際映画祭コンペティション部門への正式出品を勝ち取ってきた、イタリアの奇才パオロ・ソレンティーノ。2008年の『イル・ディーヴォ 魔王と呼ばれた男』では審査員賞を受賞、その時に審査委員長だったショーン・ペンからの熱烈なラブコールで、ペン主演の『きっと ここが帰る場所』が完成したというのは有名なエピソードだ。2013年の『グレート・ビューティ/追憶のローマ』ではさらに称賛の輪を広げ、アカデミー賞外国語映画賞の栄誉に輝いた。 新しく刺激的な才能のアイコン的存在だったソレンティーノが、最新作ではこれまでにも増して、世界各国の映画祭で旋風を巻き起こしている。観る者を陶酔へと誘う壮麗な映像美がさらに磨きをかけられ、“21世紀の映像の魔術師”の称号を確固たるものとしたのだ。 だが、今度のソレンティーノは、それだけでは終わらない。一度は引退した著名な音楽家が、キャリアの最後に大輪の花を咲かせるべく、人生のすべてを賭けて大舞台に挑むまでの愛と葛藤を描ききり、「一番の感動作」「愛おしい物語」「感情豊かな映画」と、数々のメディアから味わい深いストーリーテリングへの最大級の賛辞も贈られているのだ。エンターテイメントの翼を手に入れたソレンティーノの次なる飛躍が、ここに始まる! |
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アカデミー賞に輝く名優たちと若手実力派俳優が奏でる 世界的にその名を知られる、イギリス人の音楽家フレッド・バリンジャー。作曲とオーケストラの指揮に人生を捧げてきたが、80歳を迎えた今はすべてから引退し、ハリウッドスターや元一流サッカー選手などセレブが宿泊するアルプスの高級ホテルで優雅なバカンスを送っている。長年の親友で映画監督のミックも一緒だが、現役にこだわり続ける彼は、若いスタッフたちと新作の構想に没頭中だ。そんな中、フレッドに英国女王からの出演依頼が舞い込む。名誉ある舞台を、なぜか頑なに断るフレッド。その理由は、娘のレナにも隠している、妻とのある秘密にあった。しかし、レナとミックという大切な存在に、人生最大の試練が降りかかったことから、フレッドは最後のステージに立つことを決意するのだが──。 フレッドを演じるのは、『ハンナとその姉妹』『サイダーハウス・ルール』で2度のアカデミー賞を獲得した名優マイケル・ケイン。一度は燃え尽きた音楽家が、家族や友人、ホテルに集う風変わりな人々との交流の中で、人生には引退などないと気付く姿をユーモアとダンディズムを散りばめながらエモーショナルに演じきり、まさにケイン自身の集大成を映画史に残した。 フレッドの親友で映画監督のミックには、『スモーク』『グランド・ブダペスト・ホテル』のハーヴェイ・カイテル。フレッドとは正反対に最後の瞬間まで芸術に生きようとする男をドラマティックに演じた。フレッドの娘のレナには、『ナイロビの蜂』でアカデミー賞を受賞したレイチェル・ワイズ。ホテルに宿泊するハリウッドの映画俳優には、『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』でゴールデン・グローブ賞にノミネートされたポール・ダノ。また、アカデミー賞7度ノミネート2度の受賞を誇り、近年では『大統領の執事の涙』でも印象深かったジェーン・フォンダが、自身を彷彿とさせる大女優に扮した圧巻の演技で、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされた。 スイスの高級リゾートホテルでの人間模様をストラヴィンスキーやドビュッシーの名曲が彩り、本年度アカデミー賞にノミネートされた主題歌「シンプル・ソング」を、BBC交響楽団、ヴィクトリア・ムローヴァのヴァイオリンの演奏で、カラヤンからその声を「神からの贈り物」と称えられたスミ・ジョーが歌う。ゴージャスでエレガントな非日常の世界の先に待つ、壮大なる感動のフィナーレが今、日本に響き渡る──。 |
STORY
世界的にその名を知られる、英国人音楽家フレッド(マイケル・ケイン)。 今では作曲も指揮も引退し、ハリウッドスターやセレブが宿泊するアルプスの高級ホテルで優雅なバカンスを送っている。長年の親友で映画監督のミック(ハーヴェイ・カイテル)も一緒だが、現役にこだわり続ける彼は、若いスタッフたちと新作の構想に没頭中だ。そんな中、英国女王から出演依頼が舞い込むが、なぜか頑なに断るフレッド。その理由は、娘のレナ(レイチェル・ワイズ)にも隠している、妻とのある秘密にあった──。 |
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CAST & STAFF
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監督:パオロ・ソレンティーノ『グレート・ビューティー/追憶のローマ』 |
『グランドフィナーレ』PRODUCTION NOTES
女王のオファーを断った著名な指揮者の実話から着想を得た物語 本作の原案は、ある実話からインスパイアされて生まれた。著名なイタリア人指揮者が、女王からオーケストラの指揮を依頼されたが、レパートリーについて折り合いがつかずに断ったというものだ。 その話からパオロ・ソレンティーノ監督は、引退した著名なオーケストラ指揮者であり作曲家の物語を思いつく。彼は音楽に未練はないと主張するものの、その存在をあらゆる場所で感じ続け、ほとんど無意識のうちに音楽を探し求める。「オーケストラの指揮者を映画に登場させたいという思いは以前から強かった。指揮者が紡ぎ出す、神秘的な音楽の世界に入り込んでみたかったんだ」とソレンティーノは説明する。 さらに物語の根底に流れるテーマとして、ソレンティーノは「自分にはあとどれだけの時間が残されているのかと考えた時、人は未来に何を望むのかということを描きたかった」と語る。「私たちは普段、歳を重ねた人たちが、それでもまだ将来に立ち向かおうとするなんて考えてもみない。だからこそ80歳を生きる人たちが、明日について期待することは何かということに非常に興味を引かれたんだ。」 主人公の親友を映画監督にしたのは、「自分の将来に興味があるという個人的な理由が大きかった」とソレンティーノは打ち明ける。「果たしてその歳になっても、情熱や体力が満ちてくるのか、少し探ってみたかったんだ。」 キャスティングから撮影後まで、深く結ばれた監督と俳優たちの絆 ソレンティーノにとって本作は、2011年の『きっと ここが帰る場所』に続き、2本目の英語作品となる。主人公の親友がハリウッドの映画監督という設定なので、物語を英語で語らないわけにはいかなかったのだ。「英語を話す役者からのキャスティングは選択肢が豊富で、監督にとってはお祭りのようだ」とソレンティーノは笑う。 2013年に監督した『グレート・ビューティー/追憶のローマ』がアカデミー賞外国語映画賞に輝いた時、ソレンティーノの名前は一躍広まった。だが、彼は受賞前に本作のキャスティングを進めていた。つまり、マイケル・ケイン、ハーヴェイ・カイテル、ジェーン・フォンダ、レイチェル・ワイズというインターナショナルに活躍する一流俳優たちは、ソレンティーノが世界的な名声を獲得する前に出演を快諾していたのだ。 ポール・ダノの起用だけは、もっと後のことだった。ソレンティーノとダノが知り合ったのは、まさにオスカーの授賞式の夜だった。「彼のような若くして才能ある俳優と一緒に仕事をすることは、私の強い要望だった」とソレンティーノは振り返る。 ソレンティーノのこれまでの作品でもそうだったが、撮影を終えた出演者たちは、さらに彼の熱烈なファンとなる。ケインに至っては本作のために、『アルフィー』以来実に49年ぶりにカンヌ国際映画祭に参加、「何ももらえなければここまで来ないが、この映画がとても気に入っていて、賞がとれなくても関係ないと思った」とスピーチして会場を沸かせ、「パオロは世界で最も偉大な監督の一人だ」と年若い盟友を称えた。 |
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映像美を極める監督が絶大なる信頼を寄せる撮影監督 撮影は、スイス、ヴェネチア、ロンドン、ローマで行われた。大部分の舞台となったのは、アルプス山脈のふもとにあるホテルだ。ソレンティーノがスパにこだわり、以前はサナトリウムだったのを改築した古いホテルを見つけたのだ。偶然にもそこは、トーマス・マンがかの傑作「魔の山」を書いた場所だった。マンと所縁のあるホテルということで、オーナーが改築などには慎重だったために、当時のままをとどめているのだ。「だからとても美しくて、登場人物たちの年代にも合っていた」とソレンティーノは語る。 撮影監督は、ソレンティーノが「彼との関係は揺るぎないものだ。言葉なしでも理解し合える」と絶大なる信頼を寄せるルカ・ビガッツィ。照明まで全面的に任されていて、今やソレンティーノ作品で欠かせない存在となった。 ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞を始めとする数々の賞を受賞している一流カメラマンは、地平線に雄大な山脈が連なり、常にその姿を変化させ続ける、美しくも厳しい自然を見事に捉えると共に、人物では撮影方法を変えている。「役者が話している時は、カメラを固定している」とソレンティーノが説明する。「カメラが役者から見えてはいけないからね。成熟した映画を撮るために、成熟した撮り手でありたかったんだ。」 名曲と本人出演から生まれた、物語と音楽の幸福な融合 音楽はソレンティーノ作品で常に重要な要素だが、本作ではまさに決定的な役割を果たしている。ソレンティーノは『グレート・ビューティー/追憶のローマ』で楽曲を使用した、2008年のピューリッツァー賞(音楽部門)受賞者であるアメリカ人作曲家デヴィッド・ラングに作曲を依頼した。同作のオープニングシーンで挿入曲として流された「I lie」は、本作でも再び使用されている。本作では、主人公のフレッドが冒頭から「あの曲はもう指揮しない」とその演奏を拒み続ける謎の曲として登場し、最後に感動的に流れるオリジナルスコア「シンプル・ソング」を手掛け、ラングはこの曲でアカデミー賞にノミネートされた。 また今作でも、ソレンティーノはオリジナル曲と並んで、サウンドトラックに様々な音楽を配している。たとえば、ソレンティーノが脚本を書きながら聴いていたというシンガーソングライターのマーク・コゼレックと、ソレンティーノが妻から教えられたというポップスターのパロマ・フェイスは、共に本人役で出演し、演奏を披露する。さらに韓国出身のソプラノ歌手スミ・ジョーも本人役で出演している。 本人出演と言えば、一見本人かと見まがうマラドーナを彷彿させるキャラクターも登場する。実はソレンティーノはマラドーナに特別な思い入れを持っている。16歳の時、両親が別荘の暖房装置の事故で亡くなったのだが、いつもなら同行しているところを、たまたまその週末はマラドーナの試合を見に行っていた。以来、ソレンティーノはマラドーナを命の恩人と慕っているという。もちろん映画に登場するのはそれだけでなく、ソレンティーノは「スポーツ界の並外れた人物が出て来ると、シンプルな動きでも芸術作品になる」と天才への敬意を語っている。 |
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