INTRODUCTION
-時代に翻弄された女性画家ベルト・モリゾ。 印象派-19世紀半ばにフランスで起こった芸術運動。その影響は欧米をはじめ日本にまで及ぶ。本作は印象派の誕生に大きくかかわった女性画家ベルト・モリゾが、巨匠エドゥアール・マネとの出会いを経て、一人の女性として成長していく過程を描く。 ベルト・モリゾは画業の初期において、マネの絵のモデルをたびたび努め、マネの代表作『バルコニー』、『すみれの花束をつけたベルト・モリゾ』で描かれている女性で、同時にその頃、モリゾはマネの画風から多くを学んだ。 本作ではアーティストとしてのベルト・モリゾだけでなく「女性」として生きることと「画家」として生きることの両方でゆらぐ姿を映し、今まで描かれることのなかったマネとの関係をも織り込まれている。 更に彼女は女性の社会的地位が確立していない時代に女性画家のはしりとなった人物で、現代を生きる女性にとって多々共感できる点がある。パリ16区を舞台に展開し、ブルジョワジーの生活、豪華絢爛な装飾品など、パリの街を描く美術映画史に名を刻む作品になるであろう。 本作のメガホンをとったのは、ゴダール、ドワイヨン、ブノワ・ジャコー、フィリップ・ガレルなどの作品の常連の撮影監督であるカロリーヌ・シャンプティエ。彼女は2009年に東京国際映画祭の審査員を努め、諏訪敦彦の『H story』と『不完全なふたり』、河瀬直美『七夜待』などの撮影も手がけ、日本ともゆかりが深い。グザヴィエ・ボーヴォワ監督作品『神々と男たち』(2010)でセザール賞撮影賞を受賞した。 主役ベルト・モリゾにシャリー・マクレーン主演の『ココ・シャネル』(09)や、ソフィー・マルソー主演の『恋人たちのアパルトマン』(1995)などに出演しているマリーヌ・デルテリム。そしてモリゾを導く、後の巨匠エドゥアール・マネを演じたのはフランソワ・オゾンの『焼け石に水』(00)でセザール賞有望若手男優賞にノミネートされたマリック・ジディ、と注目すべきキャストも揃った。 |
STORY
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パリ16区のサロンに出品していたベルト・モリゾは、ルーヴル美術館で姉と摸写をしている時、既に、美術界では名をなしていたマネと会い、モデルを依頼され、彼のアトリエに通うことになる。女性は家庭に入るものという時代、画家を目指すモリゾは数々の苦悩を乗り越えていく。戦争も始まり、時代に翻弄されながら、夢を追い続けた女性の人生の物語。 |
CAST & STAFF
監督:カロリーヌ・シャンプティエ |
『画家モリゾ、マネの描いた美女 ~名画に隠された秘密』 |