望月英莉加 & 池谷直樹　ミュージカル対談 Part1

今回のダイヤモンドブログ特集はミュージカル対談ということで、世界中で公演され、今や伝説のミュージカルと言われている『RENT』（日比谷シアタークリエにて公演中）にモーリン役で出演中の望月英莉加さんと、開始から7年目を迎える「筋肉で音を奏でる」をコンセプトに歌もセリフもない全く新しい形のミュージカル『マッスルミュージカル』の座長として活躍中の池谷直樹さんにお話を伺いました。

『RENT』
作詞・作曲・脚本を担当したジョナサン・ラーソンは、1996年1月プレビュー公演の前日に35歳の若さで急逝。翌1月26日、オフ・ブロードウエイのニューヨーク・シアター・ワークショップで初公演。センセーショナルでドラマティックな内容と音楽が話題となり、3ヶ月後にはブロードウエイのネダーランダー劇場に進出。
その後、ピュリッツァー賞ドラマ部門を初め、トニー賞ミュージカル部門作品賞、音楽賞、脚本賞、助演男優賞の4部門を獲得。
『RENTオフィシャルウェブサイト』

『マッスルミュージカル』
スポーツとエンターテインメントを融合させた“スポーツバラエティ”。
卓越した身体能力の持ち主がそれぞれの個性を生かし、また融合させ全く新しいパフォーマンスを創り出しています。歌もセリフも物語もない、けれど新鮮な感動と笑いに満ちあふれた、世界にも類を見ないミュージカル。
一人ひとりパフォーマンスが物語。決して同じものを見ることができない日々新しい発見を楽しめる。
『マッスルミュージカルオフィシャルウェブサイト』

ダイヤモンドブログスタッフ相川(以下：相川)望月さんは池谷さんが出演されている「マッスルミュージカル」を先日見に行かれたそうですね。どうでしたか？

望月英莉加(以下：英莉加) はい観にいきました。ショーのクオリティの高さにびっくりしましたし、エンターテイメントとして凄く楽しませてもらいました。直樹さんのブログは拝見させていただいてたので、ステージを観ながらついつい知り合いのような気分で観てました。

池谷直樹(以下：直樹) 観に来ていただいてありがとうございます。僕も望月さんのブログは拝見していました。「RENT」は今度、是非、観に行こうと思います。

英莉加 ダイヤモンドブログはブロガー同士親近感が持てるので、同じダイヤモンドブロガーさんの公演は気になりますよね。

直樹そうなんです。
例えば、ついつい横にあるダイヤモンドブロガーのバナーをクリックしてしまうんですよ。

英莉加 わかります。

直樹「RENT」もホームページで見ました。この前(11月上旬)始まったばかりなんですよね？

英莉加 そうです。待ちに待った本番なので凄く楽しんでやらせてもらっています。
マッスルミュージカルの稽古ってどんな感じなんですか？

直樹僕らは本番前の佳境時は夜中3時位まで稽古してますよ。

英莉加 えっ!!本当ですか？私たちはのどのキープもあるんで、夜中の3時まで稽古するなんて信じられないです。

直樹僕らの稽古って朝が遅いというか演出家の稽古が13時からなんですよ。ただ、僕らは11時から集まって、自分たちで作るものをやるんですよね。たとえば、ジャンプロープなんかは自分たちで技を考えて、自分たちで技を出してカウントにはめて。それから音を作ってもらうんですよ。音が来たら音に合わせて作り直して、余った音の部分とかを編集してもらって、って感じで作っていくんですよ。

英莉加 キャストも一緒に作っている感じなんですね。

直樹そうですね。望月さんにこの前見てもらったマッスルミュージカル「花魁」の中で、みんなで跳び箱を飛ぶ所があるじゃないですか、あれは僕が作ったんですよ。演出家やプロデューサーがこういう感じでやりたいっていう話を持ってきて。

英莉加 引き出しをみんなで広げて、あれとこれとって選び出す感じですかね。

直樹そうなんですよ。ただ、みんなに任せてしまうとあれだけの人数がいるので先に進まなくなってしまうんで、ある程度決めてしまわないと。

英莉加 さすが座長パワーですね。

直樹そうですね(笑)人数も多いし、普通のミュージカルと違って役もないし、誰がどこに出るかっていうのも本番の前日にならないとわからないって感じなので。

英莉加 あんな高度な技をたくさん披露されるので、きっちり決め込んだ演出なのかと思ってました。
演者さんのクオリティーが相当ハイレベルだから成せる技ですよね。

直樹自由っていえば自由なんですよね、たぶん。そういった面ではすごく楽しめるんですよ。ただ、やりすぎると言われるし、やらんかったら言われるし・・・。

英莉加 そうでしょうね。でも、お客さんの立場だったら絶対に面白いですし、リピーターになりたくなりますよね。

直樹同じことをやろうと思っても、技なんて毎回違ってしまいますからそのあたりをリピーターの人達は楽しんでくれているみたいです。

英莉加 「RENT」は早い段階からワークショップをするなど、みんなの気持ちを一つにする所から始めました。この作者がジョナサンラーソンと言うのですが、稽古前に彼の足跡を辿りに行きたかったのと、制作発表を終える頃には、ブロードウェイにある「RENT」の劇場がなくなるという事で何人かのキャストの子達と稽古前にニューヨークに行ってきたんです。なのでみんな稽古はすごく楽しみにしてた感じですね。

直樹もう、舞台やっている人は稽古が大変なんですよね。

英莉加 そうですよね。もっとやりたい、って思うんですけど、稽古場の時間とかの問題があるので。

直樹時間！そう舞台は時間かければなんぼでもいいものができると思うんですよ。

英莉加 そうですよねっ！

直樹時間のない中でやるのは大変なんだなっ、っていっつも思いますね。
マジカレードも稽古時間が10日しかなくって・・・。

英莉加 10日ですか!?

直樹そう、10日ですべて作ったんですよ。

英莉加 それはすごいですね。

直樹今回はマジックをやるじゃないですか。「花魁」の舞台中にファミリー塔の点火のシーンがマジックになっているんですよ。
で、プロのマジシャンも舞台上に入るんですけど、実際は自分でマジックをやるんですよ、ボディースラップをやって瞬間移動とかしてるんですけど。その稽古がまた面白いんです。演者はたくさんいるんですけど、そのマジックに関わっている人以外には演者であっても教えちゃいけないんですよ。

相川舞台って生だから、空気とか緊迫感とかを出したいんでしょうね。

直樹そうなんですよ。だから、全体稽古が10時とかに終わっても、マジックやる人はその後残って稽古です。

英莉加 今の「RENT」の前に「ヘドウィグ」ってミュージカルに出たんですけど、それが代役で急遽、出演する事になって、2日で稽古。
しゃべらないはずだったセリフも、本番の10分くらい前に「いけるわ!!やって」っていわれて「うっそぉー」って感じだったんですが、いきなり客前でやることになりました。
本心は演出家の方にそう言ってもらってうれしかったし、勝手に台詞の稽古もやっといてよかったなぁ～、って思いました。

直樹ドラマとかだとNG出しても、なんとかなるじゃないですか。でも舞台って生だから。マッスルはセリフがないので、セリフある舞台やる人はすごいなぁ、と思いますよね。
僕もね、舞台でボディースラップ(からだを叩いて音楽を作り出す技)を全体でやって、そのあと自分のソロが入って、またみんなが続くっていうのがあるんですけど、その時に出だしの1発目を忘れてしまって・・・わけわからなくなって(笑)

英莉加 周りがですか？？

直樹いやいや、僕自身がリズムがわからなくなって適当にやって自分の中で区切ってやり直したら後ろが既に始まりだしていてバラバラになったっていう。

英莉加 でも、稽古やった分だけ、体が覚えてるから何とかなっちゃいません？

直樹そうなんですよね。何とかはなるんですけど、自分はテンパるし、みんなは笑いこらえるのに必死だし(笑)
演者の中でも楽しみがあるんですよね。毎回違うから。
芝居は何回もやってると飽きてきませんか？

英莉加 本番だと毎回お客さんが違うので飽きないですね。今回の「RENT」のテーマが「今を生きろ」っていうもので、舞台ってまさにそういうところがあるじゃないですか。
その瞬間に演じて、時間が終わったらそれで終わり、という儚さがあって毎回違うお客さんがいるのでリアクションが違うし。

相川一番緊張する瞬間っていつですか？

直樹・英莉加 う～～～～～～～ん

英莉加 意外に客前になると演者って、アドレナリンがぱーんっとでちゃうからそこはすでに吹っ切れていて。逆に稽古中に演出家とプロデューサーを前に、「はい、やってみて」的に試されているような時のほうが緊張しますよね。

直樹わかります、わかります。お客さん何千人の目よりも演出家1人の目のほうが緊張するんですよ。
ゲネ(本番直前の通し稽古)で関係者とか入れてやる時に、意外とみんな冷めてたりするんで、そういう時がねぇ～。
本番になったらお客さんからお金もらって見に来ていただいているので、それだけのものをやらなければいけない、というのがあるんですけど、ゲネの人たちはご招待で来ていて、なんなんかなぁ～、っていう感じで観ているのがすごい伝わってきて　『大丈夫かなぁ～』っていうのがすごいありますね。

直樹マッスルは最近レッドカーペットをやりだしたんですよ。各界の著名人の方々を集めてやるっていうのがあって、これは緊張しますね。この前も11月3日にやったんですよ。芸能の人はまだいいんですけど、政治家の安倍元首相とか都知事も来て、さらに様々な会社の社長も来ていて、周りに認めてもらわなければというプレッシャーがあったりするわけで。
プロデューサーはその時に一番緊張していて、その緊張が自分たちにも伝わってきて、失敗したらいけないっていう感覚が出てきて、本当に緊張しましたね。

英莉加 緊張しそうですよね。しかも、結構照明が明るいじゃないですか。だから客席見えたりするんですよね。