テレビ出演後の仕事の依頼について
奥田健次です( ´ ▽ ` )ノ
大学を退職し、西軽井沢に移住して学校づくりをやってます。
明日、正式な情報が告知されるようですが、2年間も取材に協力してきたドキュメント番組の放送日時が決まっています。通常30分の番組ですが、年に数回の1時間特別枠なのだそうです。
それで、あらかじめ申し上げておきたいのですが、テレビに出演すると仕事の依頼が殺到します。増える、ではなく、嵐のように殺到します。ホームページやブログにしても、良いのか悪いのか分かりませんが、アクセス数が桁違いに跳ね上がります。まあ、確かに数百万人レベルの人がご覧になるので、そりゃ影響力はあるでしょう。
それで、一番困るのは放送後の仕事の処理です。
特によくあるのは「番組を見ました! ぜひうちの子を見て下さい! 困ってます! 助けて下さい!」という切実な感じの申し込み。切実だろうとは思うのですが、番組を見たからって「うちもお願いしたいな!」というのでは困ります。自分としては有名になろうとか金を稼ごうと思ってやってませんので。
楽しく、気持ち良く仕事ができるかどうかだけです。
現時点での仕事の依頼すら、20件に1件くらいしか返信できていません。
一応、あらかじめ申し上げておきます。ホームページにも書いていますが、教育相談の開始について。
・開始年齢(申込時の生活年齢)5歳未満
上記をクリアしていない申し込みが半数以上です。少しでも開始年齢を早めたいので、本来ならば4歳未満で年齢が小さければ小さいほどお引き受けしやすいです。5歳以上のお子さんや成人については、この記事の下のほうに別の方法を述べます。
・あれこれ条件をつけないこと
「他にどなたか仲間がいればやりますが」というのは受けられません。こちらから紹介することはあるかもしれませんが。
・指導に従うこと
当たり前ですが、全面的に従っていただきます。およそ普通の親がやってしまうことの真逆のことを提案します。「自分のやり方が否定された」と受け止めるタイプの親御さんは申し込まないで下さい。むしろ「自分はきっとついつい子ども可愛さのせいで誤った対応をしているに違いないから正してもらわねば」とお考えの方でないと長続きしません。
その他としては、やはりそれなりに費用はかかります。「高すぎる」と思われる親御さんや専門家くずれは、交通費や宿泊費を計算してみて下さい。そして、ご自宅まで訪問する場合にかかる軽井沢からの往復時間を考えてみて下さい。片道6時間かかるところに出張する場合、1往復するのに12時間かかります。相談の時間を入れると13時間です。スクールカウンセラーが学校でのんびりバイトしている時給よりも安いし、場合によっては居酒屋でバイトしている高校生の時給くらいになることもあります。海外出張の場合は、利益なしか赤字になることすらあります。
しかしながら、こちらは負担される親御さんの側のことも考えています。1回の教育相談で劇的に変わるものを提供しなければならないというプレッシャーで、もう十数年やってきました。おかげさまで、確かにその通りの成果を上げてきました。そうでなければ、昨今、いくらでも地元にABAの塾みたいなものがありますから、みなさん地元の教室に行くでしょう? それでも、なお自分は相変わらず全国各地からお呼びがかかります。ドキュメント番組放送後も、そういう方々への指導は変わりません。
アメリカと違って、日本は社会制度の面で太刀打ちできない遅れがあります。6歳までは国・自治体が療育の費用を全額負担するべきです。親御さんの中には「日本の療育の制度は遅れている」というのを短縮して「日本は遅れている」と言います。そこまでは間違っていません。しかし「日本は遅れている」という言葉が、「日本の技術は遅れている」と結びつける単純な人が結構いますが、それは正しくありません。制度と技術は違います。技術的に遅れていると感じたことは一度もありません。アメリカがバーガーショップならば、日本は季節や気候、旬の食材によってお品書きを変える料亭のようなものです(日本全体がとは言い難い世の中になっていますが、自分はずっとそのイメージでやってきました)。
ただ、アメリカの場合は療育プログラムはパッケージにして売らないと商売が成り立たないので、ごまんとパッケージがあるわけです。およそ英語のアルファベット数文字で表記されるようなやつ。また、日本ではこういうのを翻訳して代理店販売1号みたいになるのが上手な人もいます。そうすると、当然ですが「そのプログラムについては日本で数年後に翻訳紹介された」となります。それが繰り返されると、いつまで経っても「日本は数年遅れ」みたいに思われがちになります。
アメリカの場合はプログラムにする「旨味」があります。会社のシステムとして。大学のシステムとして。研究費がもらえて、なおかつ売れると年収が億単位になる人も出てくる。
日本の場合、そんな旨味はありません。まあ、たまに目立ちたいか儲けたい人が「○○式」とか「○○法」みたいにパッケージっぽくやる人もいますが(ちなみに学苑社から出した本で「奥田式」「小林式」と表記しているのは2名の別回答を表記する必要性から編集者がそうしたのであって、奥田・小林両名とも自分の名を残すためのプログラムを作成した経歴は一度もありません)。
それでも、「日本は(何もかも)遅れている」と思い込んでいる人は、ただのアメリカ大国信仰なのでしょうね。あほらしい。おれに連絡してくるなよ、面倒くさいから。そんな人は「新車でSRXって知ってます? 日本にあります?」って真顔で聞いてくるようなもの。「何それ?」って聞いたら、「シボレーが新車を出したんですよ」みたいな話。トヨタやホンダ、日産だって新車を出すでしょって。
アメリカのごまんとある企業が出したプログラムを、誰かが日本に紹介したとしますね。どっかの親御さんや院生が「先生、○○(アルファベット数文字)はご存じですか?」と聞いてきたら、「どうせそのうちまたSATとかBGMとか、AHOとかBACAとか出てくるんやろうな。いつまで他企業のプログラムを追いかけるの? さっさと目の前の子どもの個別アセスメントしてプログラムを作ってあげんとな」と答えています。
まあ、こういうアルファベット数文字に弱い(格好いいと思っている)のは学者の一部も同じですので、売り手も買い手も大差ありませんな(笑)。
そんなので目立つもしくは儲かるのであれば、ほんまに団体AHO(Autism Health Organization)とかBACA(Behavior Assistant for Children with Autism)とかKUSO(Knowlege Understanding of Social Order)とか作るで。でも、確かBACAはすでにあったような気が・・・。
自分の仕事はパッケージの売り込みではありません。100%、その子の現在の行動から目標を設定して、オーダーメイドの行動プログラムを提供し続けます。売名行為とも無縁です。掲げた目標が目の前で達成するのが楽しいだけですから。
来月の番組放送後にも断っておくことになるでしょうが、あらかじめこのように先に申し上げておきます。ほとんどの申し込み依頼について、お返事すら出来ないと思います。ごめんなさい。上に掲げたことをクリアしていて、なおかつ熱意が伝わった場合に、ようやくお会いすることが叶うかもしれませんが。
・開始年齢オーバーしている方
番組でもそういうお子さんが登場してきます。しかし、ご覧頂ければ分かりますがそのシーンは学校との契約で学校コンサルテーションによる支援が実現しています。開始年齢がオーバーしている子や成人でも、大幅に行動は変わります。こちらに直接申し込まずに、学校や自治体などにコンサルテーションの予算を付けてもらえるように働きかけてみてはどうですか(テレビでご覧いただけるように実現している学校が実際たくさんあるのです)。うまくいけば親御さんの経済的負担もゼロじゃないですか。もしくは、精神病院に入院しているなら病院に働きかけて。福祉施設に入所しているなら福祉施設に。それら専門機関から仕事としてお呼びがかかれば、そこに指導に行くことはできます。それなのに、「小学校の高学年で家庭暴力が始まった、入院させるのは可愛そう、施設入所もまだ踏み切れない」という方が少なくありません。こういう方の相談には一切、応じていません(おれの本を全部読んだのか!と)。
一般の講演やメディア等の出演のご依頼については、浅井企画のほうにお願いいたします。
奥田健次
おはようございます。(^-^)このテレビこちらでも見れるかな?ぜひ見たいです。本やテレビ、講演って本当に影響力ありますよね。次にどうなるかを考えてって考えるって大切ですね(o⌒∇⌒o)