爺ちゃんが天国に逝った
男一匹、判治大介は頑張っとるか?
が口癖な威勢のいい爺ちゃんだった
数年前にハンサム兄弟が初めて故郷でライブをやった時、婆ちゃんと一緒に満員のライブハウスの最前列で
判治大介日本一!
と叫び続けて伝説を残したファンキーな爺ちゃん
ワシは小学校にあがるまで祖父母が営む氷屋に預けられて育ったもんで爺ちゃんは親父みたいな存在でもあるんよ
89歳の大往生
盛大で賑やかな告別式だった
酒と祭りが大好きな親戚が一堂に集まったもんで大変な騒ぎだった
お通夜から告別式までコップが乾く間もなく日本酒を注がれた
酒好きだった爺ちゃんの供養だで全部呑んだ
婆ちゃんが最後に酒を口移しで爺ちゃんに呑ませてあげとるのを見て溢れるもんを我慢できんかった
灰になった爺ちゃんを前にして気が強すぎることで有名な婆ちゃんが堪えきれずに泣いた
婆ちゃんが泣くのを見たのは初めてだった
70年近く一緒に居るのに今でも恋人同士みたいな二人が素敵だった
不謹慎かもしれんけど
いいもん見させてもらった
いつかあんな夫婦になりたいと思った
男一匹、判治大介
判治の名に恥ずかしくない男になろうと心に誓った
爺ちゃん、空からワシんことを見とってくれ
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